2021.03.11

防災がライフスタイルになる世界線。

編集 : 北里 憲

2011年3月11日14時46分。

僕は都内で車に乗っていて、ちょうど高速道路の入り口となる上り坂を上ったころでした。

大きく揺れ始めた車のハンドルを固く握りながら、ブレーキをめいっぱい踏みしめて、揺れに耐えていました。

カーステレオからは午後のニュースが流れていて、いつもは冷静なベテランキャスターさんが、平静を装うこともできないくらいの動揺を抱えながら、精一杯の言葉で私たちに呼びかけていたことを覚えています。

東日本大震災から本日で10年が経ちました。

僕たち防災ライフスタイルブランド+maffsが誕生したのは、震災発生から8年後の2019年1月です。

防災ブランドの中の人として迎える、震災から10年経った今日、僕が思っていることや、この2年間+maffsがどんな活動をしてきたのかについてお伝え出来たらと思い、このコラムを書いています。

ブランド立ち上げに際して、なぜ「防災ライフスタイルブランド」を始めようと思ったかについては、下記のコラムでお話しているので、併せて読んでいただけたら嬉しいです。

+maffsが誕生してから2年の間、常に僕たちが意識してきたことは、どうすれば、防災がライフスタイルになるのか、ということに尽きます。

言い換えれば、どうすれば、防災への意識が一過性のものにならずに、継続性のあるものになるのか、ということです。

僕たちの考える、防災がライフスタイルになるために必要なことの仮説は、ブランド立ち上げ当初から変わらず、「お団子」を例に説明することができます。

【 ライフスタイルと防災の関係を見直してみる 】

僕たちのライフスタイル(生活)には、有限な長さの串に刺さった、大切な時間というお団子によってできていると思っています。 ※イメージ1

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これまで、防災意識を高める為の活動は、こんなふうに僕たちの大切な時間と同様に串に刺すことを目的としていた様に思います。 ※イメージ2

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しかし、僕たちの生活は時間やお金など様々な部分で有限で、いくら「防災」が意義のある取り組みであるとはいえ、大切な時間を差し置いてまで、「防災」に時間を割く人は多くありません。

その結果、4つ目のお団子とはならず、僕たちの生活からは抜け落ちてしまうことになります。

だから、僕たち+maffsでは生活者一人ひとりが大切にしている時間に、寄り添い、交差点を見つける(大切な時間が防災にもつながっているという気づき)ことを大切に考えています。

そうすれば、有限な時間のなかでも防災がライフスタイルの一部として、皆さんの生活の中に居場所をつくってもらえるのではないかと思っています。 ※イメージ3

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【 2年間でみつけた防災とライフスタイルの交差点 】

そんなふうに宣言をして活動をしていると、ライフスタイルと密接にサービスを展開されている、企業の方々からコラボレーションや協業のご依頼を頂戴したり、これまで防災プロダクトではあまり取り上げられることの少なかったメディアから声をかけていただいたりします。ごく一部にはなりますが、この2年での取り組みを紹介させてください。

① 「ライフスタイル×防災」二子玉川蔦屋家電さんとの取り組み

蔦屋家電さんには、ブランド立ち上げからほんとうにお世話になっています。

「防災をライフスタイルに。」というコンセプトをイメージしたとき、真っ先に僕たちのプロダクトが置かれる空間としてイメージしたのは蔦屋家電さんの店舗でした。

インテリアや、生活雑貨、家電、そして本といった、私たちの生活とは切っても切り離せない商品が並ぶ店内では、僕たちの考える防災とライフスタイルの融合がとても象徴的に実現されています。

② 「くらし×防災」無印良品さんとの取り組み

ブランド名こそ表に出ていませんが、昨年から無印良品さんで展開していただいている消火器は、+maffsのデザインアイデンティティを引き継いで作られています。

誰もが知っている、日々のくらしを支える日用品が並ぶ無印良品の店内に、消火器が並んでいる。

消火器を買ったきっかけが、いつも大好きで買っているレトルトカレーを買ったときにふと目に留まったから。そんな人が一人、二人と出てきてくれたなら、なんて最高なことでしょう。

無印良品さんとは、様々なイベントでもご一緒させていただいていて、訓練用消火器を用いた消火体験はいつも行列ができる人気コンテンツ。

こうやって、一人ひとりと向き合って、防災を伝える機会を作ることができたこと、本当にうれしく思っています。

③ 「アート×防災」絵描き・ペインター 中川和寿さんのペイント消火器

まず、見てもらいたい消火器がこちら。

僕たち+maffsの消火器に、絵描き・ペインターであり、バンドマンの中川和寿さんが施してくださったペイント。

「+ 住宅用消火器」がシンプルなデザインなのは、住環境に調和する目的のほかに、余白を残して、購入者さんが自由にカスタマイズできるようにしたかったから。

こんなふうに、世界で一本の消火器がそれぞれの購入者さん毎に生まれたら、これ以上なくうれしい。それぞれのライフスタイルに染まるための余白を残して本当によかったと思います。

④ 「アウトドア×防災」CAMMOCさんとの取り組み

僕たちがブランドを立ち上げるにあたって、当初から目標であり、イメージしていたのが、アウトドア×防災の組み合わせ。

普段は家の中に備えている消火器が、週末のアウトドアでも家族の安全を守ってくれるキャンプギアになる。これこそ、防災がライフスタイルの中に居場所をみつけたことの最たる例なんじゃないかなって。

そんな僕たちのイメージを、具現化して広める活動をしてくださっているのが、「キャンプのある暮らし」をコンセプトに、ライフスタイルの発信、空間やフードのコーディネート、イベント企画などを行なっているクリエイターズユニットのCAMMOCさん。

キャンプギアとして消火器を紹介してくださる方が増えてから、ブラックの購入希望が増えているのは偶然ではないと思っています。

⑤ 「ギフト×防災」KOKUAさんとの取り組み

防災用品を贈る。

防災用品を贈られた経験のある方は、またほかの誰かに防災用品を贈る様になってくれるかもしれない。

そんな優しい連鎖反応を目指して創られた防災ギフトカタログ「LIFEGIFT」を展開するKOKUAさん。

「+住宅用消火器」を自分たちのプロダクトの様に愛でてくれる彼らとは、これからも防災用品を贈るという文化を、一緒に作っていきたいと強く思います。

⑥ 「デザイン×防災」グッドデザイン2019グッドフォーカス賞[防災・復興デザイン]

コラムやSNSやプレスリリース等で、何度もお伝えしているのですが、それくらい嬉しいことだったので許してください。

デザイン賞で評価をいただけたことももちろんですが、審査員の方の総評が僕たちにとってはすごくうれしい内容でした。

「消火器をモノトーンカラーに変化させただけという小さな行為だが、空間における調和という点では非常に大きな行為だと感じる。-中略― もしかすると他にも様々な分野で、このような変革が可能なものはあるのではないか、またそれを変えていけるのではないかという意識を持たせてくれることも受賞のポイントになっている。」というものです。

デザインという視点から、消火器を家に置くこと、見えるところに置くことから遠ざかっていた方々の住空間に、消火器の居場所が作られるきっかけになったなら、これ以上ない喜びです。

【 さいごに 】

僕たちが描く、防災とライフスタイルの関係づくりは始まったばかりです。

生活者一人ひとりに、それぞれのライフスタイルがあり、生活があります。

だから、それに関わる防災も正解は一つではなくて、それぞれの形があると思っています。

最近、僕は+maffsに関わってくれる方々に、よく言う言葉があります。

「防災は総力戦。」

「勝ち」だとか「負け」だとかという意味ではなくて、「みんなで」集合知を形成して、高い目標を達成した方がいい。そんな思いから言っています。

これからも、僕たち+maffsは皆さんの生活に寄り添う防災ブランドでいられるように様々な方々との活動を通して、防災がライフスタイルになる世界線を手繰り寄せていきたいと思っています。

2021年3月11日  +maffs  北里 憲 & プロジェクトメンバー一同